鮭缶
小川 葉



鮭缶が
海を泳いでいる
よく見ると
泣いている
帰りたいのだ
ラベルを見ると
知らない国
川を遡上するといい
と教えても
遡上の意味さえ
鮭缶は忘れていた
身振り手振りで
教えてあげたいけれど
私も鮭缶の中から
外に出ることができない



自由詩 鮭缶 Copyright 小川 葉 2012-06-02 00:53:51
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