雷鳴ー無音の稲妻2
……とある蛙


春の小川の流れ、
雑木林の枝にとまって
口を開けている唖の小鳥たちよ
黒雲から発し 丘をひっぱたいては消える
無音の稲妻

丘が放電している

晩年のルートヴィヒのスコアの凄みか
音の階段の中に
突然現れる稲妻
単音の凄み
沈黙一拍の凄み

テンションが欲しい

HIROMI・Uの作る音階は
テンションに溺れ

雨垂れの脅迫に負け
テンションに溺れ

うるさい騒音の中の
テンションに溺れ

無音の稲妻
光の中
テンションに溺れる。

流れるモード
言葉で歌えず
思考が溢れ出し
テンションに溺れる。

都会の交差点
行き交う大量の自動車から
クラクションの嵐
横断する大量の人
人人人
の筈

騒音の中に無音の状態
沈黙の中思考は溢れ出し

言葉は無い
大声での罵り合い
大声での嘲り
コミュニケーションするための
言葉は無い。

言葉の中
論理は潰滅し
それでも思考は溢れ出し
テンションは放電する。

都会の午後
押し黙った人々の隊列が行く
行くあてなど分からないが
日の沈む方角だ
誰ひとり立ち止まろうとしない
歩きながらの休息

そこへ一閃
無音の稲妻


自由詩 雷鳴ー無音の稲妻2 Copyright ……とある蛙 2012-05-29 12:20:16
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