厚揚げ
たもつ

 
 
テーブルの下に
豆腐が落ちていた 
原形がわからないくらいに 
ぐちゃぐちゃに崩れていた 
世を儚んで
飛び降りたのだ
窓を開ける
初夏の風が吹いて
部屋の中を涼しくする
豆腐を集め
庭の隅に埋めた
豆腐屋でその話をすると
お店の人は黒板の正の字に
一本付け足した
今日のおすすめ品は
厚揚げらしい
 
 


自由詩 厚揚げ Copyright たもつ 2012-05-28 19:21:10
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