演歌が聞きたいときがある
天野茂典
(演歌でも歌いたくなるときがある
淋しい夕暮れ
帰り支度に遅れて
ひとりぽつねんととり残されて
あんなに人がいたのに
もうみんな帰ってしまった
夕暮れのときは淋しいひととき
コウモリ傘がミシン台と出会う場所
石狩挽歌 それとも舟歌 天城越え
演歌でも歌いたくなるときがある
君の死に目にであえなくて
薬の中で眠ってたぼく
あれからもう4 5年がたつ
墓参りにも行けなくて
君にはなんだか淋しくおもう
有名になるんだ
無名じゃだめだ
ぼくを見ればそれが分かる
70年代には有名だったぼくも
詩を捨ててから
駄目になった
いまぼくは書いている
玉石混交
言葉に出してみることだ
冬の蛍が飛んで行く
そんなものだ
詩一篇の行為
動いてから書くか
書いてから動くか
勝手に決めろ
ROCKじゃ駄目だ
演歌でなけりゃ
俺も焼きが回ったか
演歌が聞きたいときがある
2004・12・07