honesty
ホロウ・シカエルボク




明るく
楽しく
元気に
ハッピーに


なんて


やりたいと
思ったこと
なかった


人の言葉に頷き
決められたことを守り
与えられたものをこなして
型枠にぴったりと合う成長なんて


欲しいと
思ったこと
なかった


生まれた時からこれまでずっと
頭の中で疑問符が吹きだす
誰かの良し悪しなど関係なく
間欠泉のように
幾時間おきに


僕が知らなければ
僕は頷けない
僕が頷けなければ
それは正しくない
側溝の浅い窪みに
隠れて
世界を眺めつづけていた
快活に
明瞭に
それに寄り添っていく人たちを


「いつか後悔するよ」
とみんなが言った
だからなんだ
僕の後悔のことなど
君に関係ない
そして僕は
後悔などしたことはない
僕の歩いた道は
僕が歩きたかった道
君にとって無様な僕でも
君が見なかったものを僕は見てきたんだ


笑って生きている誰かさん
そいつは幸せに見えるだろう
だけど心の中は途方もない暗闇かもしれない
装ったところで幸せは真実にならない
君にしてみれば僕は不幸な奴かもしれない
だけど僕はこれで結構幸せなんだ
自分で選んできた
自分で判断してきた
自分が望むことも望まないことも
自分で選んで自分で判断してきた
そう思った時脳裏をよぎる一瞬のことを
僕は成長と呼んでそれきり忘れるんだ


人間は変わらない
変ろうとしたところで
持って生まれてきたものは絶対に変わらない
どうしてそれを抱いてきたのか
それを知るために人生はあるからだ
僕はいつからか
この厄介な僕を愛し始めて
普通なら被ることもなかっただろう面倒を
ひとつの経験として何度も受け止めて
楽しいことはなかった
でも幸せだ
嬉しいことはなかった
でも幸せなんだ
そんなの喜怒哀楽とは何の関係もないのさ


僕はこれからも愚かさでもって
狭い世界に関わって行くだろう
そしてそれよりは少しマシな自分で
詩を読んだり聞いたりするやつらと関わって行くだろう
例えば君、それから
君のようなやつと
僕のことをよろしく
僕は相変わらず苦悩している
くだらないことを言って君らを不愉快にさせるかもしれない
だけどそれは僕にとってすごくすごく大切な幸せの種なんだ
僕が僕だけの道を自分の足でこれからも歩き続けるための
どうしようもなくなったら助けを求めるかもしれないけれど
でも
僕は意地っ張りだから
知らない顔して黙ってると思うよ
きっと知らない顔して黙ってると


僕は果てしの無い成長がしたいんだ
枠の中で懸命に育ってしまったら
窮屈になって血管がおかしくなっちまうだろ
決まったものの中に収まることで安心することを
その中でお約束の段階を踏むことを
成長だなんて思わないってだけの話なのさ
僕だけの言葉がここにあるといい
僕だけの詩がここにあると
僕はいつでもしかめっ面をしてるかもしれない
でも
これで結構幸せなんだぜ


財布の中には金がなくなって
いろんなところに迷惑をかけて
まったくなんてどうしようもない生き物なんだって思うけれど
でもそんなのいつまでも続くことじゃないし
少なくともこれまではずっとそうだったし
消化試合を余儀なくされても
溶けずに残るものがあるだろ
そいつのことをいまは楽しみにしているのさ
君には無責任に聞こえるのかもしれないけれど
だけど
これで結構僕はなかなか真面目なやつなんだぜ





自由詩 honesty Copyright ホロウ・シカエルボク 2012-05-27 22:49:39
notebook Home 戻る  過去 未来