ひとでなし
HAL
きみはひとの途を
きみはひとの絆を
きみはひとの義を
いつも見下す目線で見ている
だからだろうね
きみはいつも憤懣を抱える
きみはいつも逆鱗を覚える
きみはいつも偽善を責める
ぼくはそんなきみを見ていて
いつも可哀想だと想っている
憤り 激怒し 偽善を憎む
それってほんとうに正しいことなのだろうか
それってほんとうに幸せなことなのだろうか
それってほんとうに賢明なことなのだろうか
余りにきみは虚しい
余りにきみは憐れだ
余りにきみは愚かだ
ひとの世界を断罪することばかりで
ひとの世界の短所を見ることだけで
きみは自分を護っているとしか想えない
だからきみに寄り添うひとは去っていく
それは孤独なのに
きみは孤高として
己に自惚れるだけ
だけどきみがしていることは
ただひとを傷つけるばかりだ
そんなことでひとは世界は変わりはしない
ひとも世界も正しい方向へとは向かわない
そんなきみを眺めていると
きみは余りに独りぼっちだ
きみがきみを変えようとしない限り
きっときみは死ぬまで独りぼっちだ
ぼくがきみに想っていることを
もっとはっきり言っておこうか
きみは単に多くのひとにこの世界に
ただ毒を撒き散らす人間に過ぎない
きみは毒蛇や毒蜘蛛らとまったく
同じ種類の生き物だと言うことだ
やがてその毒にきみも犯されることにすら気づきもしない
この世界に不必要なひとでなしと呼ぶものがきみなんだよ
※作者より
“きみ”とはぼくであり、同時にまた“ぼく”とはぼくのことです。