位相
salco

小雨に当たって今日の花は
桜の花々は眠っているよう
だから金環食の事を考える
五月二十一日
太陽、月、地球が一直線上になるという
些細な椿事の天体図を想う

それから太陽のフレアになって見る
青い球体を視認したところで
視界は地球の時間に焦点を結ぶ
羊歯とティラノサウルスの羽毛
そこで結局、人類学になる
ここ(頭)が人類だから
そうでしかあり得ないから

歴史と文化、政治の概略
心理学と後のゴタクソ

例えば
私はヒトラーのブーツだ
と定義する
あの黒革のブーツ
右足の個人主義
左足の全体主義

右から左へ容易に流れる
このスムーズな直立二足歩行
すると歴史がのしかかって来る
底深い性向の実証
前に押し出され
その責任を取らされる気がして来る
誰しも人間の典型だ
ここからは逃れられない

しんどいよ
ヒューマニズムって何
人間性とは手指なのか
左薬指の婚約指輪、ネイルアート
右手の鉛筆、米とぎ

ヒューマニズムって何だ?
マハトマ・ガンジーにアルベルト・シュヴァイツァー
マザー・テレサにアンネ・フランク?
写真だけしか知らないくせに

しんどいので掌を返す
「て」
薄赤い溝しか見えはしない
掌紋が一体何だというのだ?

だが全てがこびりついている
掌上には何もないというのに
全てが固着している
人生のヨロコビに意味なんかあるか?
幸福論って何の為だ?
何の為に繰り返しているのだ?


自由詩 位相 Copyright salco 2012-05-20 22:58:22
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