フェチな日曜日
藪木二郎
ある日曜日の昼下がり
君は
息を弾ませ
散歩から帰って来る
病院の向こうの
古本屋
筑摩日本文学全集っ
筑摩日本文学全集っ
病院は
総合大学付属の病院
そして総合大学には
文学部だってあるから
全集
殆んど揃ってるけどバラけちゃってて
っんで
外のワゴンで一冊百円っ
僕
本棚から溢れテレビの前を占領し
冷蔵庫の前にもチラホラしてる
河出世界文学全集を
駅向こうって京王線のほうのっ
なんならトラック出しましょうかっ
一冊百円三冊二百円五冊三百円のゾッキ本
ではありますがっ
君決然と
いえ結構ですっ
君決然と
またウチらでピストンしますからっ
世界文学全集三月
日本文学全集八月
前籠荷台
それにリュックも
途中の公園のベンチや
バス停のベンチで
休んで読んで
部屋でも休んで読んで
ポカリスエット
ハイクミンC
天然水っ天然水っ天然水っ
天然水っ天然水っ天然水っ
行程の大半占める国道
ラブホが二軒ある距離
最終便は
午後六時半
ねえっ
寄ってくっ
うんっ
僕だけシャワーOKならっ