村の外れの道祖神
……とある蛙

村の外れの道祖神
何時からそこにおわすのか
村の平和を守るため、
悪霊妖怪退散の
結界 男女二柱
 天津麻羅の矛を持ち
猿田彦と天宇受売命(あめのうずめ)か

村の外れの道祖神
苔生す顔は欠けていて
だんだらぼっちとうり二つ
後(のち)に地蔵と間違われ
いつかいわれも消え失せて
何を想うか道祖神
その持ち物は鍛え上げ

村の外れの道祖神
雨の日にも 日傘差し
晴れの日には破れ傘
それでも村を守るため
ジッと我慢の道祖神
いつもお供物は貧しいが
村千の結界守り抜く

両手を合わす爺婆と
供物を掠める鴉たち
それでもジッと道祖神
この先ずっとジッとして
村の最後を見るまでは
そのままござる道祖神



自由詩 村の外れの道祖神 Copyright ……とある蛙 2012-05-14 12:28:46
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