まがいものの温度
魚屋スイソ

クラブ帰りの渋谷でサンプリングされ尽くした女子高生の残骸を打ち落としてく縦シューでボム抱え落ちして、デスルーラで飛んだ先がベルベットルームでもマサラタウンでもなくボロアパートの自室、いしのなかにいる、電気スタンドも襲ってこない、朝に録画したプリキュアみながら月曜日にイオナズン、ただしMPも足りないしイケメンでもないし反確、勝てない、負けイベ、硬直フレームを数えて眠る、なにも回復してない朝、大手町で半蔵門線に乗り換えて、神保町で乗ってきた文系女子をさして見定める間もなく九段下で降りる、坂の上で等間隔に立ち並んでるチケットゆずってください女たちを、リズムよくジャンプしてふみつけてゴールフラッグを目指す、コインが百枚集まって、もうひとりの自分と交換される、コンゴトモヨロシク、オレサマオマエマルカジリ、ペルソナ使いだらけの学校、チャイムが鳴ると影時間、ノート開いてヤンマガ読みながらまわってきたプリントを折る、ネームエントリー、ランカーはここで頭角を現す、授業を抜け出すためにダンボール被って匍匐前進していたら余計に目立ってまた瀕死、大佐が遠くでテスト範囲を叫んでる、学食に並んでいるやつらはクイックセーブが使えるんだろう、スマホのフラグ管理アプリを眺めるのが日課、リア充はツイッターでリア充を爆発させる、そうでないやつらは何らかの黒魔法を特技にしている、おれはまだ本気を出していないだけ、とっくにキャラオーバーしてる東京にビームを放てばUFOエンドくらい迎えられる、帰りはポケセン寄ってゲーセン寄って千代田線、当たり判定をひた隠しにしてる高校生、ステルス迷彩を着込んだ会社員、握り締めた鉄パイプを引きずる音に誰も気付かない、家に着くとラジオが鳴ってる、雨が降ってる、マヨナカテレビにはゾンビのような自分が映る、アレイズで死ぬタイプ、主人公を演じすぎてしまったプレイヤーキラー、画面に触れても冷たいだけ、夜明け前までビートマニアして、魔法剣二刀流せつなさみだれうち、うしろのかべがしまりました、ぼうけんのしょはきえてしまいました、パラメディックにコール、HPゲージが赤い


自由詩 まがいものの温度 Copyright 魚屋スイソ 2012-05-13 03:30:28
notebook Home 戻る  過去 未来