舌打ち守護霊
朝焼彩茜色

うなじをノックする 何かが

陽が長くなる加減を絶妙なまでに延ばし

舌打ち使いの してやったり音が
 夜を明かすまいと 辿って来る うなじに

ノックする 何者かが
 異角度の90度までしか明けない 夕暮れごしに


   おう 久しぶり アタシの腹が云う
ノックは止み     守護霊とやらが現れる
姿は見えず      アタシの腹の中のビジョンは
姿を見る       守護霊とやらを


   今のアタシに悩みがないから退屈なんだろう?

舌打ち使いの してやったり音 うなじに響く
 キセルでも持たせたくなる
 アンタの姿 描きたくなる

舌打ち使いの チクチク音 喋る

   今のアタシに悩みがないから返ると云う
   180度弧を描く裏の世界へ 夜が明けない内に返ると云う

   夜が明けぬ夕暮れごしに   返ると云う

     3年前 毎日
     うなじをノックしてくれた アイツ
     
     幼児のアタシとも遊んでくれた
     いつもバスの中でうたた寝していた時は
     色々な書物を差し出してくれた

     難しいんだよ!幾何学暗号なんて!
     それでも書き写したかった

     大事な章で 
   
     今日みたいな 夜が明けない夕暮れごしに
     目を覚まさすんだ してやったり音

     アンタに頼ってばかりも
     あの世に返るのが 早まりそうね

     ありがとう
     さようなら

     ありがとう

陽が長くなる加減を絶妙なまでに伸ばし

最後の舌打ちが 夜を辿らせる うなじに


自由詩 舌打ち守護霊 Copyright 朝焼彩茜色 2012-05-08 19:02:08
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