のりしろ
そらの珊瑚

今日の終わりに
のりしろが佇んでいる

のりづけしなければ
全てがそこで途切れることを
知っているはずなのに
どうしますか? と
のんきに尋ねてくる

点線から先は
のりしろ
白い顔をした
のりしろ
夜の淵に目印みたいに浮かぶ
のりしろ
からくりを知っているのに
知らないふりの
のりしろ

明日へ
のりづけされていくためだけに
存在する
おまえは のりしろ

とりたてて記すこともなかった
今日のむこうに
とりたてて記すこともないであろう
明日がのりづけされていく

のりしろは
今日より重く
明日よりも重い
なぜなら
それらが重なり合って
できているから
案外丈夫にできている

一生に一度だけ
のりづけされない日がきて
のりしろはひっそりと役目を終える
その時
点線は切り取り線になり
ピリピリと
はがされていくのだろう




自由詩 のりしろ Copyright そらの珊瑚 2012-05-07 10:42:24
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