蒼穹
無限上昇のカノン

こんなに長く生きるつもりはなかった
こんなに長く荒廃した街を彷徨うつもりはなかった
ただ、高みに登りたくて
そらへの階段を探していただけ
時間は無慈悲に流れ
すっかり年老いてしまったけれど
中途半端な地図を片手に迷うよりも
新しい地平線に立ちたかっただけ

見上げれば遥かなる蒼穹
登る階段がないのならば
自分で作ればいい
気が付くまでに年老いてしまった


軋む骨を
自ら励まし
私は不器用に階段を登る
不完全な階段は
未完成の部分を目指して
均一とは程遠い高さで
やっと私の重さを支える


今更って嘲笑う私が足にぶら下がり
崩れ落ちそうな階段はゆらゆらと震え
戸惑いと恐怖を無理やり押し殺し
そらの高みを目指して登る
蒼穹を通り越せば
望んだ世界が待っていると信じて



蒼穹は遥かに遠く
伸ばした手は届かない
やがて力尽き
大地に叩きつけられるとしても
何もしなかったと後悔するのは好みじゃないんだ

死を待つベッドの上で
蒼穹に手を伸ばし
掴みとることを夢見る
年老いた者には
それさえも許されないと
嘲笑う私が
私の首を絞めるだろう



自由詩 蒼穹 Copyright 無限上昇のカノン 2012-05-05 16:41:51
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