おわかれ
nm6

けれど
明るいほうから暗いほうをみたのだった
逆からよくみえるということに気づきながら
ぼくたちは暗いほうを暗いねと言い
明るいほうから笑いながらみつめていたのだ
赤いひかりだけが1つ2つ3つ
遠くのビルの屋上のようで
焦点を合わせても緩ませてもまたたきもせずにこちらをさす
すこし梅干のようでもあった
一度だけ救急車のサイレンが鳴った
そこで回る赤いひかりもまた
同じ赤いひかりだろうと思った
ぼくたちにはあの赤いひかりだけが1つ2つ3つ
あとは気温と体温と何かの機械がブーンと鳴る音
気温と体温はぼくときみのあいだで行ったり来たりして
何かの機械はそこでずっと動いていて止まっていた
あれから3年
焦点を合わせても緩ませてもまたたきもせずにこちらをさす
あのときに
明るいほうから暗いほうをみたのだった
逆からよくみえるということに気づきながら
赤いひかりをみつめすぎてしまったからだ
赤いひかりをみつめすぎてしまったからだ
なぜだか今になって4つとも赤い
ぼくたちの目は


自由詩 おわかれ Copyright nm6 2012-05-04 20:14:37
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