断片
六崎杏介

 1
精液まみれの手をアスファルトの水たまりで
そそいでいる時に視える風景の優しさ
トリアゾラムの溶け込んだ血液が通った
指先がかじかんでいく、温かさ
恋人に貰ったポケットの煙草は
両手の指の数と同じ本数入りで商品名はHOPE
短命な希望を胸一杯に吸い込んで
僕らは薄荷みたいなキスを交わす
万月の一つが発火して夜を熱と幸福でみたした。


 2
僕の夢は巨大な温室を造る事だ
僕はそこにサルビア畑を作り栽培、管理する
愛を込めて世話を焼き、美しい花が咲き乱れたら
僕は全ての花に火を付ける
炎上するサルビア畑の中心で確信に満ちて神の到来を待っていたい。
(それが幻覚であろうとも!)


未詩・独白 断片 Copyright 六崎杏介 2004-12-05 23:40:10
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