いつかは虹を見るだろう
ただのみきや

     雨の匂いがする
      川沿いを下る道すがら

     梅も桜も木蓮もまだ閉店中
      一度に咲こうとしめし合わせているのだ

     雨の匂いがする
      天から降るものに文句も言えないが

     雨は仕切る
      精神の内と外を

     仕事には向かない
      ぼんやりと物思いに耽るには良いのだが

     だが仕事はそんな言い訳をゆるしてくれはしない
      いっそのこと雨と仕事で話し合ってくれたら良いのだが

     本当に天気予報はよく外れる
      いつも期待と裏腹に

     バス停から国道を挟み
      見上げれば家の辺りまで雲が下りていた

     目線の低いところをこどもたちが駆けて行く
      小鳥の群のようににぎやかで楽しげだ

     帽子にランドセルにジャージに靴
      鮮やかで明るい色たちが咲き乱れている

     コロコロと足元に日向の匂いが転がってきて
      すこし 緩む 顔も心も

     やがて ふっきれたとばかり
      あっけらかんと青空が笑うだろう

     「過ぎてしまえばあっという間」 
      すり抜け際に 風が肩をたたいて行った


自由詩  いつかは虹を見るだろう Copyright ただのみきや 2012-04-26 00:28:13
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