落差
HAL

きみは暫々それは知ってると言う
きみは暫々これは知ってると言う

きみが博識だということを
ぼくは否定する気はない

でもきみが饒舌に語る話を聞いていると
何か絵画のない額縁だけを聞いている想いを
ぼくはいつも抱いてしまう

それがなぜなのかをぼくは
今日まで解らなかった

でもふと気づいたんだ
知っていることと
解っていることは違うのだと

きみはほんとうに色々なことを
知っているし教えられる

でもきみは果たしてその知ってることを
自分なりに解っているんだろうか

ぼくを知っていても
ぼくを解っていることにはならない

愛を知っていても
愛を解っていることにはならない

弱さを知っていても
弱さを解っていることにはならない

言葉を知っていても
言葉を解っていることにはならない

きみは知っているのだろうか
知っていることと解っていることには

ひとには想像ができない
大きな落差があることを

ほんとうにきみは知っているんだろうか
知っているだけでは何の役にも立たない

多くのものがぼくたちの世界には
存在しているということを

解っていなければ
何の役には立たない多くのものが
ぼくたちの世界には存在していることを

それを解ったうえで
果たして知るということを
求めようとするのだろうか

その隔たりの
余りに果てしない落差を
ほんとうにきみは知っているだけでなく
ほんとうに解って生きているのだろうか


自由詩 落差 Copyright HAL 2012-04-25 23:12:04
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