サラダヶ丘七丁目
nonya


バスタブからあがった
ブロッコリーが塩と胡椒で
身支度を整えている頃

次から次へと切り出された
キュウリの楕円形の
車輪は朝日を照り返して

クロゼットからはがされた
レタスが小気味好い
衣擦れの音をたてている頃

後から後から散りばめられた
パプリカは赤色と黄色と
オレンジ色の歓声をあげて

東から昇る完熟トマトの
断面はアスパラガスの
摩天楼に突き刺され
ハムとチーズの
路地裏が華やぎだす

西へたなびくカフェ・オ・レの
湯気がクロワッサンの
なだらかな稜線を越えたら
もうすぐドレッシングの
雨が降り注ぐ




自由詩 サラダヶ丘七丁目 Copyright nonya 2012-04-11 18:48:26
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