自由或いは生きる意味
梅昆布茶
病院のベッドに三日間泊まった
聖なる牢獄に三日間も居たんだぜ
すごいことさ
可愛い看護師さんは小首を傾げて言った
何処に居たってあなたの生きる不安は同じでしょ
そう彼女はとても魅力的でセクシーなグローバルスタンダード
三日なんて短いものかもね
でも救急車の着いた処は地獄の三丁目
白衣を着た看守達が今度はどいつの人生を裁量しようか
ベッドを空けて待っているの
昨日まで誰かが寝ていたベッドをね
栄華は一場の夢人生は燃え上がる火宅
燃え尽きれば真白き骨が残るだけ
命を繋ぎとめる素敵なシステムは
限りなく不自由なゆめの時間を約束してくれる
希望ある医療 誠意ある看護 の横断幕のある待合室では
ときにちょっぴり醒めた眼をして残りの人生を数えてしまう
心は瞬間の五感の外界との交感
二度とはないであろうカレイドスコープの断面を
いつも通り過ぎて生きてゆく
病院の長い廊下は何故か永遠に繋がっているようにも思えて
自由への逃走経路のように非常口へ走る人の緑色のシルエットが連なっているようだ
でも春野に芽吹くいのちは何故か嬉しくて切なくて言葉にする必要の無い世界からの回答なのかもしれない
きっと病室の窓は何かに向かって開け放たれなければならないのだ