ボンネット
しべ

屋根瓦は濡れ色で
雉の音と喧嘩する
遠く電光に溶ける頃

時折冷ややかに鐘の音が重なる
もうまもなく 沈んでしまうわ

月まで誘う鉄橋をご覧なさい
ほらごらんなさいよ

叙景 蠢き
川面を這って あぶらのいろ
焼け焦げた 虫の煤から青白く
浮腫みがちの罫線が
揺らめくだろ 悲しいだろ
煙の色と桜の色と ぽつりぽつり
電線の 陰り輪切りにされた犬 雨
蛾も夜も すべてすべて3月の
あの真っ暗がいいのかい



青い窓にそれなり乗って
きらきらひかって鳴いている
電車がついに来たんだった

ねえみんな しなないで




自由詩 ボンネット Copyright しべ 2012-04-05 07:17:34
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