無意味な街
番田 


夢のような風景を見た。地下深く眠る道に漂う匂いを思い出した。日曜日の夕暮れを見ているみたいで寂しい。今、社員と名がつけば馬車馬並に働かされる存在だ。定時で帰れていた頃が、懐かしい。時間だけは、人の心を離れて過ぎていく。利益は楽には出ないだろう。経済の中心はもう、この国に帰ってくることなど無いというのにーー。誰もが、それをわかっていることも知っている。経済発展は我々に一体何をもたらしたのだろう。文化を守り、国益を思いとどまることができたなら。しかし、その意味を考えること自体に意味はあまりないのかもしれない。今の中国などがそうだろう。我々も、それを選ぶことはきっとできた。たぶん、彼らは我々のような道を歩むことは決してないだろう。経済発展を、人の幸福をないがしろにしてまで優先させることなど決してないのである。ブラジルであろうとインドであろうと、それは、きっと同じことである。日本では熱心な信仰心といったものはあまりにも滑稽なのだ。洗脳されているか、頭がおかしい人のようにも感じられるーー。無関心さといったものが、国自体の衰退と結びついているのかも知れない。


自由詩 無意味な街 Copyright 番田  2012-03-25 01:48:36
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