想春賦
梅昆布茶
報われない愛を僕にください
届かない手紙を僕に書いてください
安っぽい言葉でもいいからささやいてください
僕が必要だって言ってください
思い出します君の柔らかな薄紅色のマフラー
近づいて来る花の精におもえて
優しい約束のようにもおもえて
胸がいっぱいだったのを憶えています
君の視線が何を見ているのかは知っていたけれど
君の瞳に映るものが虚像かも知れないなんてやっぱり言えなかった
僕の瞳はガラス玉のように虚ろなのかもしれません
遠い雲を浮かべたままのあの空の断片のように孤独なのでしょう
野の花のように吹き渡る風のように光に満ちた水面のように
愛おしさを繋ぎとめておきたかっただけなのです
やがて時が明らかにするものを何と呼びましょうか
寂しい微笑みでやり過ごす時間を何と名付けましょうか
今はもう君が僕を何と呼んでいたのか思い出せないのです
そしてもう呼ばれる事もないことも知っているのです
すべては春の旋風に巻かれるように
些細なものだったのですね