食器を片付ける
瀬崎 虎彦

たとえば塵のように
グラスの中で
わたしの怒りの澱が
舞っては沈む

気泡の中にそれぞれの
口に出しかけてやめた言葉を
閉じ込めているのが
足の速い風味に伝わる

ガラスのように澄んでも
悲しみはいずれ濁り
流れていくので

水滴のひとつひとつに
思いを託すようにして
食器を片付ける


自由詩 食器を片付ける Copyright 瀬崎 虎彦 2012-03-14 22:08:05
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