降る日 降る日
木立 悟
月のような陽が
雨の奥から見つめ返す
白へ白へ
流れ込む青
冬は冬を巻き
隙間はまたたき
足首の渦 山への径
白く踊る日々
悲しい嘘が
空に咲いては落ち
踏まねば何処へも行けぬ夜に
青を見つめて立ちつくす
脂で描いた絵が
原と原の境に燃える
岬が
凪の光に浮かぶ
見えない針が降り
よけてもよけても降り
歩みに踏まれ
小さく呻く
一瞬に照らされ
影はつらなり
出口を示す
出口を示す
上を指す標のさらに上
青は白に渦まいて
藍より近い星雲の群れ
光の端を鏡に降らす
窓から空を見つめる草
緑に曇り
淡く丸く
遠去かる夜
光の鱗のひとつが終わり
かたちをかたちと呼ぶより速く
波が終わりを変えてゆく
ひとつとすべてを結びゆく
降る日 降る日
宙めぐる波が照らす径
雨に溺れる針まとい
素足は冬を駆けてゆく