あいちゃんのおちゃわん
そらの珊瑚

あいちゃんのおちゃわんは
ぷらすちっくでできています

あいちゃんは
とうとうみつからなかったけれど
このおちゃわんだけは
どろのなかから
みつかったと
おばあちゃんが
はなしてくれました

まいにち
まいにち
どろだらけになりながら
がれきをおしのけ
さがしたそうです
なんびゃっかい
なんぜんかい
こえがかれても
よびつづけたそうです

今でも
おぶつだんのまえで
おばあちゃんは
あいちゃんのなまえを
よびつづけているのです

あいちゃんのおちゃわんには
かわいいくまのえが
かいてあったそうです
いまはもう
それはうすくなってしまって
なんのえか
わかりません
それは
おくいぞめのときにかったものだそうです
あかちゃんがうまれて
ひゃくにちめのおいわいなのだそうです
いっしょう
たべものにこまらないようにと
ねがいをこめてするそうです

けれど
あいちゃんは
たったいちども
このおちゃわんで
ごはんをたべることは
ありませんでした
おばあちゃんの
おっぱいのあじしか
しらないのです

だから
こうして
まいにち
おばあちゃんは
あいちゃんのおぶつだんに
しろいごはんを
おそなえするのだそうです
おばあちゃんから
いつもおせんこうのにおいがします

わたしは
あいちゃんのぶんまで
ごはんをたべようとおもいます
ひとつぶの
ごはんものこさず
たべると
おばあちゃんがほめてくれます
らいげつ
わたしはしょうがくせいになります

おばあちゃんに
みずいろの
らんどせるをかってもらいました
みずいろは そらのいろ
みずいろは うみのいろ
わたしのだいすきないろです
おばあちゃんは
かなしいいろだねと
いいました
けれど
わたしがせおったら
うれしいいろになったと
いいました

うれしいいろをせおって
わたしは
しょうがくいちねんせいになります

あいちゃんは
わたしのおとうさんのいもうとで
わたしにとっては
おばさんになるそうです
ずっとあかちゃんのままのおばさんです
わたしは
あったことはないけれど
これからあうこともないけれど
あいちゃんのことを
しっているようなきがします



自由詩 あいちゃんのおちゃわん Copyright そらの珊瑚 2012-03-10 10:21:58
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