ゆうべに釈放されて自由を想う
梅昆布茶
かつて収監されていた何故
どの小鳥の羽根をもぎとった罪なのか
それとも母を殺し身内の愛を根こそぎに
うりとばしてしまった哀しみのせいなのか
外への出口は自働ドアだ
ドームの外へ踏み出すとそこは沙漠
銀色の細い月が夕闇にかかっていたさ
無数の生きものが
その息遣いを夜に満たすのさ
そして眠りにつくまえの祈りをそれぞれにくりかえしてゆく
ここがこの星系の何番目の惑星なのか
或いは衛星でもあるのか
僕はなんのためにこの夕暮れの中に釈放されて
どういう自由に
あるいは新たな呪縛に愛されてゆくのだろうか
また償うべき罪を重ねてゆくのだろうか
監視カメラのない自由のように
いまは夜にまぎれてやすみたいのだね
君を迎えにゆく頃には
僕は小さな沙漠のトカゲになっていると思うのだね
冷たい石のトカゲにね