遊ぼう、朝が来るまで
はだいろ

新居への、
家具や家電の配送も、
なかなか日程合わせも大変なもので、
どうやら、
妻ともども引っ越すのは、
3月も終わりになりそうな気配だ。
花粉で目がかゆい。
今日は仕事帰りに寄席へ行った。
上司は相変わらずひどい人間だ。

もし、というか、
そうゆうわけでもうすぐ、
妻と一緒に暮らすことになるのだけれど、
そうすると、
ぼくの居場所なんて新居にはない。
きっとない。
だって、本棚もない。
オーディオは売らなければならない。
見たくもないテレビが大きな顔をする。
トイレを汚すなとヒステリックに怒られる。
ピンクの花柄のベッドで眠るのだ。

だから、
いまのうち、
あとせいぜい、1〜2週間、
(今はまだ妻が実家にいるので)
この、
ぼくの好きなものばかりの部屋で、
好きな音楽を聴いたり、
じつにだらしなく暮らしたりできる。
いまのうち、
こっそり貯金をいくらかおろして、
落語のDVDや、
欲しい小説や、
高くて買えなかったオリジナルLPを、
まとめて買ってしまおうと思う。
そして引っ越しのとき、
知らん顔で、
前からあったもののように、
運び込んでやろうかしら。

だから、
いまのうち、
もう、部屋にデリの子は呼べなくなるから、
電話したら、
お目当ての子はもう売り切れだった。
風俗は浮気か?
とネットで検索したら、
どうしたって理解不能であるという、
意見ばかりだったが、
ぼくはぜんぜん気にしない。
いや、ばれたら困るから、
絶対にばれないように努力する。
最大限、頑張る。
必死で頑張る。

ぼくは、大阪の知事が好きじゃない。
テレビがないので、
なんの影響もされず、
感覚的なものだけれど。
ああいうのはいやだと思う。
能や文楽をたいせつにしない日本人が、
なにもたいせつにできるわけはないと思う。
お役人が刺青をしていたって、
そんなことはどうでもよい世の中になってほしいと思う。
ただ、いっぽうで、
彼が攻撃する対象が、
うちの上司のように、
どうしようもないひどい人間のかたまりだったりするのも、
事実である。
だから、痛快なのも、よくわかる。

原発か、
反原発かも、
同じ事で、
吉本隆明の、
アトムもドラえもんも原子力じゃないか、
というような意見は、
いまのところ、ぼくには非常に説得力があったのだけど、
いっぽう、
後戻りの選択ができるのが、
ほんとうの文明なのではないのか、
という希望もある。

不愉快なことがあるたび、
知らない女の子と、
舌をからめてキスをしたくなる。
今日は、
あきらめて、
来週、
貯金をおろして、遊ぶことにしようと思う。
絶対にばれないように、遊ぼうと思う。
ぼくはけっして女性の敵ではない。
だけど、
敵に思われても仕方がないのかもしれない。
業の肯定、
なんてかっこうよく言えば、
なんでもおさまるなんて思ってもいない。
でも、
まあ、
そうゆうものだろう。
遊ぼう。
朝が来るまで。
朝が来たらもう、旅立つだけだから。







自由詩 遊ぼう、朝が来るまで Copyright はだいろ 2012-03-08 22:30:47
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