木蓮
瀬崎 虎彦

背景から浮かび上がるように
白い山の稜線の切れ味
日がもう暮れようとしているのだ
帰路を急がねばならない

生活はひとつひとつの単位を組み合わせて
前へ進んでいく
どのひと時も微分すれば
美しいハーモニーのなかにあると信じたい

もう夜が落ちてとても暗い茂みの奥から
ガサリと 悪しき意思持つような物音
けれど歩みを止めてはいけないと本能が叫んだ

あなたにはとてもしあわせになってほしい
唾棄され嫌悪され誤解され
差別され迫害され傷つけられるあなたには


自由詩 木蓮 Copyright 瀬崎 虎彦 2012-03-07 09:17:56
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