便り
こしごえ




橋の上から 川を見つめていると
川の水音がザァァァッとして
風は音に染まり
ますます
澄んでゆく悪意の無い視線
そんなに見つめないで、冷める風光の翳り
(あの遠さの)
命の万有引力よ
明日も知れず
ひかれあっている

自室の机のある北側の窓辺から見えるのは、
道路と杉林とすこしばかりの空。
今その道を通り過ぎるわかい
母親におんぶしてねんねしている赤ちゃん
の幼い姉が、何やら
林の方を指さして白い小花の
パァッ、とほほえんだであろうそれは
左から右へ(心地好い風と)消えてしまい

わたくしはもう、ここにはいないしかし
あちらに涼しい顔をして座っている
代わりにその時
あなたとは会えないのである
それが自然だろうか
いずれ次元の川にひとつとなり
流れ出る時がある
それまで、さようなら。はい
一つ二つ三つ四つ五つ六つであります

(すこしばかりの空から大雨が降って来た)
川の音は大きくなり
さらに
雲の視線は遠くを見つめ
大海へと続く
御別れのあいさつは
終点の引力をめざし
風色は限り無く静まり源流が
消息を知る















自由詩 便り Copyright こしごえ 2012-03-01 09:36:16
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