先導者
……とある蛙



真実の森を彷徨っていると公言しているが、その実 森の木が枯れているのか繁っているのか覚束無い足取りで、たくさんの人間に地図を提供している。
お前の地図は誰が書いたのか?己自身に問いかける姿はとても他人に見せられない。
 他人の作った落とし穴に決してはまらないと公言しているが、端(はな)から落とし穴などは無く、あるのは自分の堀った墓穴だけであって、その場所さえ彷徨っている自分は酔いどれていて所在不明だ。
 既に誰からもあてにされていないのに、それさえも分からず、誇りと言えば聞こえはよいが実は単なる自惚れでしかない。今日も彷徨い込んだ真実の森って言う奴の中で行き先も分からずうろうろしている。お前の後に付いていった人間はみな死ぬか飢えるか、それとも最後はだらしなく気が触れてお前と一緒に森の中を彷徨うかだ。ただ一つ救われるのはお前のやり方を真似れば誰もが同じ場所には戻れるということだ。つまりは本当の意味でのスタート地点に連れて行くことだけが可能だ。


自由詩 先導者 Copyright ……とある蛙 2012-02-29 10:00:00
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