輝く日に
ただのみきや

太陽を食べながら
冬晴れの冷気を泳いで行く
空に笑いかけて
わたしは噴水のように歌っている

土地っ子のヒヨドリも
旅行者のツグミも
わたしとともに歌っている
白樺も我を失うほどだ

仕事だってちっとも気にならない
ブリーフケース一つの重荷にもなりはしない
将来の不安も経済の困窮も
豆粒になって大渓谷に落ちて行った

ああカラス カラスよ
こうも人の生活に寄り添ってくれるいのちよ
道路に食卓を広げ
謳歌せよ 神が与えたもうたこの日を

何故だか分らないが
今幸福なのだ
気がついたら
ただ幸福なのだ
天気が良いこと以外
なにも昨日と変わりはしないのに

心に翼が生えて世界中が網膜となる
この光の饗宴を焼き付けよ
雪は花びらのように終わり
終わりなくいのちを蒔き散らす

ああなんて日だ
訳もわからず涙が溢れてくる
世界の空洞は満たされることのないまま
奇妙にもわたしを噴き上げていた

今やもう赤ん坊だ
風に揉まれてふわりふわり回転しながら
その手に見えないペンを握り
きゃらきゃらと笑い
すうらすうらと眠り
四散して行く

そう
わたしは問なのだ
答えは恩恵に帰納し
帆は爽快に意味を孕んでいる


自由詩 輝く日に Copyright ただのみきや 2012-02-29 00:10:03
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