黒い道
木立 悟





鏡の裏に灯る鏡の
違わずに違うゆらめきたち
午後を夜にわたす道
満ちた花を踏みしめる道


窓のむこう
緑の雨
誰のためでもない
三重の檻


冬につらなり
冬をついばみ
ゆうるり倒れ
冬は打ち寄せ


宝探しに飽き
荒れ野に迷い
首を欠いた平和の像
無い街への標を曲がる


水の声は巡る
ぬるやかに在る
黒い道 午後の雪を積む
白桃の指


異なるだろう
向日葵だろう
明るさに荒れた
付記の丘だろう


水は声
ないがしろの原
震えは震えに
指を添える


街は重なり
失い群れに並ぶ
あたたかく遅く
道は浮かぶ




























自由詩 黒い道 Copyright 木立 悟 2012-02-27 02:21:12
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