西武新宿線 沼袋〜野方間
馬野ミキ

西武新宿線の下り各駅先頭車両の一番前っていうか
その、つまり運転手さんからとびら一枚隔てたすぐ後ろで
ぼくは黒人と並んで窓のそとをみていた
正午過ぎでさわやかな気持ちだった
俺たちはもう猛獣を槍で殺したりしなくてすんだ
誰もが財布にマネーやコインを持ち安全にスーパーで買い物をする
閑静な住宅街でもまぁ月に一度くらいは殺人事件も起きるけれどたいていはやっぱり平和で
おばあちゃんたちは花に水をやったり隣の家の子供にせんべいをあげたりおじいちゃんの仏壇に線香をあげて少し通じたり、うん
商店街は盛況だし
ほとんどの豚肉は安心して食べられるし
飢えや寒さに苦しむ人もほとんどなく
猫はあくびをし
チワワは歩き
ほのぼのしている
そんな町でぼくは黒人と並んでみていた
西武新宿線の下り各駅先頭車両の一番前っていうか
その、つまり運転手さんからとびら一枚隔てたすぐ後ろで、レールに反射する太陽のひかりを。


自由詩 西武新宿線 沼袋〜野方間 Copyright 馬野ミキ 2004-12-01 02:32:10
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