ひずみ
Schrödingerの猫

その頃
仕事の成績を上げることに必死だった男と
その頃
産声を上げることに必死だった少女

子供を産むために愛情を交わす必要条件が
物欲と性欲を満たすために交わされた交換条件の下出会う昼下がりの一室

服を脱いで抱き合い キスを絡め 愛撫され 数センチの隙間におたまじゃくし

電話帳にない男と見上げる天井
そこに笑みはない

テーブルに置かれた三枚の紙切れに写る無表情の偉人と少女のにらめっこ
少女はいとも簡単に微笑んだ

未使用のコンドームを横目に「まぁいっか」
ハイブランドの服やアクセサリーで身を包む少女を見て羨ましがる車椅子の少女がつぶやく
「わたしもあんなふうになりたかった」

脳無しの鷹でも爪さえ隠せば同じさ

鼻の下を伸ばす男と時給10,000円の3時間で少女は羽を伸ばす

生まれつき容姿に恵まれない男女
処女 童貞を笑う世の中
金で破る処女膜を白い目で見る世の中

なら黒い目は一体何を見ている


自由詩 ひずみ Copyright Schrödingerの猫 2012-02-21 00:20:31
notebook Home