「ドラゴンタトゥーの女」を観て
そらの珊瑚

許容量を超えた痛みには
モルヒネを!

彼女にとってのモルヒネは
慰めでも愛でも誰かの保護でもない
背中に彫られ増殖しつつあるドラゴンタトゥーと
顔のいたるところに開けられたピアス

新時代の(その時代は既に始動している)ヒロインは
泣き寝入りなんかしないし誰も頼らない
そういう意味では
「ターミネーター」のサラの系統を継ぐヒロインであるかもしれない
やはり彼女もまた
バイクに乗っていた
砂漠ではなく 都会の街で 人がうごめく都会の砂漠で

印象的なシーンは
電子レンジでカップ麺を作るシーンと
変装に使った長いブロンドのカツラを車窓から投げ捨てるシーン
どちらもヒロインの人となりを表しているような気がする
ヒロインは美食にも着飾ったセレブ女にも興味はないのだ
興味があることはただひとつ
天才ハッカーの食指の動くことだけだろう

ケレドモ ココロノソコデ モトメテイタノハ トモダチ

バイオレンスにあふれているけれど
とても哀しい映画であった
彼女はトモダチがいなくても
電子レンジとパソコンとバイクがあれば生きていけるのだ
そして つじつまを合わせていくのだろう


自由詩 「ドラゴンタトゥーの女」を観て Copyright そらの珊瑚 2012-02-20 09:28:02
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