連音/はんだやー
AB(なかほど)

  

炬燵にしようかどうしようか
と思いながらも身は縮んでゆき
まるで寂しがりやの格好で
膝を抱える
どうしてこう膝を抱えると
思い出さなくてもいい友達の
笑顔が入れ替わり立ち代わり
浮かんでは消え
消えては浮かんで
声さえもすぐ近くに聞こえたり
遠くからも優しく
気付くと鼻水そうそうと
誰にも気付かれることはないので
気にすることもないのだけれど
どうせ鼻水流すなら
鴨池に帰ってくるコサギの姿を待ちながら
暖炉にくべるための薪を割りながら
プレゼントを握りしめながら
待ち合わせの時計を見たりしながら
その時計の狂っていることを祈りながら

向かいの能登屋の蒸し器からもれる湯気
をぼんやり眺めながら


よいしょ
と立ち上がり
押し入れから炬燵を引っ張り出す
頬っぺの紅く染まった君の顔が浮かぶたび
鼻をかんでばかりもいられないので



  


自由詩 連音/はんだやー Copyright AB(なかほど) 2004-11-30 19:22:02
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