ねじれ
乱太郎

何も知らなかった
   (そう叫ぶべきだった)

冷えた夜の欠片をかじりながら
一度切り裂いた真昼の夢を拾い集める
オブジェにならない粘土
翼の破れた折り鶴
なにもかもが中途半端

何も聴かなかった
   (そう答えるべきだった)

蒸し暑い夜が欠伸しながら
情け知らずの真昼の幻燈に頬杖する
純粋であることの不完全さ
透明であるゆえに暗黒
あらゆることが泡のように

捻じれた砂時計の結び目で
人と人とのやり取りが否応なく滑り落ちていく
一粒の誤解と一粒の猜疑心が紛れ込んだ濁流から
誤った過去を取り去る術を見失ったまま
昼と夜が何度も反転されて繰り返される反芻

気がつけば音を失くした響きだけが木霊して
晴れ渡った空に言葉すら忘れ去ろうとしていく

はじめから何もなかった
    (そう自分に言い聞かせていると)

何時の間にか暴風雨がやってきて
竜巻に呑まれた末にこれから何処に着地していくのか

僕は知らない


自由詩 ねじれ Copyright 乱太郎 2012-02-13 14:10:10
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