からっぽな心 / 電車の影を追って
beebee









からっぽな心 / 電車の影を追って


電車の窓から外を見ると冬日の光の影が
併走する高速道路に写って見えた
高くなり低くなり
形状を変え
光と影に揺れた

高速道路を走る車が電車の影を追ってスピードを上げる
街並みが流れ
川面が流れ
欄干の鉄骨が空気の壁を削り取る
カーブを過ぎて光が反転した

急に冷たくなる温度
電線がびんびん揺れていた
直ぐに緩んでくるスピード
車が追い抜いて行く
吊革に引っ張られ急停車する
人の出入りの賑わいに空気が揺れる
熱く湿った空気が充満して窓ガラスが濡れた

朝の光よ早く来い
またカーブを曲がり光よ反転せよ
駅舎の庇を越え陽射しよ来い
強い大きい揺れと共に影が動き出す
光りに入るにはもう少し
陽射しよ来い
からっぽな心は乾いた冷たい空気と
光の力を欲している














自由詩 からっぽな心 / 電車の影を追って Copyright beebee 2012-02-05 23:04:30
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