109
梅昆布茶

ひさしぶりの渋谷文化村通りを歩く

フェルメールに会いに行くのだ

ハチ公前で待ち合わせて雑踏に紛れる

風は冷たくて肌に突き刺さる

沢山の愛や希望が行き交う街で怪しいふたりは浮いているし

109はナマ足のギャルたちが寒々しい


スクランブル交差点のうえにひろがる空は

屈折していた30年前のままだった

道玄坂のジャズ喫茶が青春だったあの頃

生きる目的を模索していた

清志郎が好きでジャンジャンにも行ったしバイクが恋人だった


いまだ心はさ迷っているが懐かしい時代

ミュージアムはあたたかくてフェルメールやオランダの画家達の

光と影に満ち溢れている


そのあと僕たちは若い恋人同士のように語らいながら

早稲田のキャンパスをさ迷って学食でみそラーメンと牛丼を食べてコーヒーを飲んだ


まるで時間を取り戻すように話し続ける

フラッシュバックな午後の質感が嬉しい


そのあと野良猫をじゃらしたりしながら高田馬場駅近くの居酒屋におさまる

とりとめもなく上機嫌な詩人の会話は続く饒舌に暖かく


駅で彼女の詩人仲間とばったり会う

話してみると鹿児島の人で2文の後輩


彼女と別れて彼と池袋のトライの朗読会に行くことにする

青葉さんの並4ラジオにはすっかり笑ってしまったし

大島健夫さんのトオルの赤いバットのDVD買って帰る


電車の中で今日一日の楽しい混沌を思い返す

そしてまた日常に戻ってゆくのだな


109のギャル達のナマ足に別れを告げてね




自由詩 109 Copyright 梅昆布茶 2012-02-02 07:16:08
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