朝の訪れに、理由はいらない
あ。

その角を左に曲がると鳥居が見える
大層な歴史を刻んでいるわけじゃないけれど(多分、)
それでもある程度の年月は佇んでいるわけで
数え切れないほどの風雨にさらされているわけで
だのに、
塗られた朱色は存在を薄めていない


ついこないだまで
かわいいおててみたいな紅葉を揺らしていた木々は
すっかり裸になってしまって
か細い枝ばかりがあらわになっていて
これはこれで
大勢の大人の手みたいなのかも、
なんて少しだけ思う


誰かの手のどれかの指が示す先には
ぽっかり淡い空があった
濃厚な色が混じる大気の中で
それは妙に軽々しくて


重さと軽さに目が回りそうになる
肺の中が満たされてゆく
詰まらないように、深呼吸を繰り返す
何て幸福な体調不良


理屈など必要ない、朝
今日は、いい天気だ


自由詩 朝の訪れに、理由はいらない Copyright あ。 2012-01-26 16:05:14
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