空の湖
たにい

雲の間から少しだけ見える空
その琵琶のような形と水色が湖を想わせる

昨日は雲の勢いに圧されて湖が埋め立てられそうだった
わずかに開いた隙間から射してくる一筋の光に紫煙が渦を巻いて立ち昇る
誰かがふーっと大きな息を吐いた
見上げる空はまだ明るいのに喫煙所の囲いの中は薄暗い
家に帰って温かい鍋を食べた

今日は晴天
空一面に増水した湖面を綿菓子のような雲が流されてゆく
天に大洪水が起きると地は極端に冷える
あの人は凍えてはいないか
思わず北の空を見る


自由詩 空の湖 Copyright たにい 2012-01-26 15:57:08
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