海と海
そらの珊瑚

その海は
私の海とつながっている
嵐がくれば
たちまちぷつりと切れてしまいかねない
一本の麻のロープの
あやうさで
私の心とつながっている

その海は
もはや この地のどこにもない
幻の海であるのだから

かつての恋人の名前を書いた紙を
硝子壜に閉じ込めて
忘れぬように
その海に流しておいた
昨晩生まれたイルカの赤ちゃんの
いい玩具になるに
違いない

夜明けの海は
まだ見ぬ未来とつながっている
薄桃色の
乙女の無邪気さで
つながっている
つながっていたい


自由詩 海と海 Copyright そらの珊瑚 2012-01-25 11:57:25
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