ワン・タイム
砂木

無限の時から逃れるために
大型店から 時計を買う

腕につけたら タイム・サービス
すべりこむ キャッシュ ワン・コイン

仮眠しかとれないんだよ
にっこり 煮込んだ 憎しみ
すすりあきたら モクギョウ
盛大に叩いて

裸足の足跡って コンクリートにつくと思うかい
残したいなら 立ち尽くすしかないよね
雨の中 雪の夜 風の邪魔をして

柱の影に 隠した べにの匂い
つららから ぽたりと
のぼせて揺れ

ピピピ と お知らせされて人に戻るよ
溶けるのも ふけるのも
後で 好きなだけできる

でも 今は ここで
ここに このまま

見上げて お時間いただけますか
私へのサービス・タイム
安い時計でも 見飽きてもいられない



自由詩 ワン・タイム Copyright 砂木 2012-01-22 21:23:51
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