愛するものを失うことと
愛するものを亡くすことには
天と地の開きが在る

それは失ったとしても
その生はこの地上に在るが
それを亡くしてしまうことは
その生が無であることを
思い知らされる
辛さと悲しみではないのか

だが生は勝利ではない
だが死は敗北ではない

それを識ることは
不条理を
真実を
識ることに
他ならないのではないのか

と
浅はかな愚者である私はただ想うのだ
解答に辿り着かない数式を解く
無常をただ想い識るのだ

信仰はそれを救うと説くが
法皇よ
司祭よ
神父よ
牧師よ
尊師よ
高僧よ
僧侶よ
禰宜よ
ラビよ
それを解けないことは
貴方たちが身に沁みて
識り尽くしているのでは
ないのか
貴方たちこそが無常そのものでは
ないのか

我等が壊れ滅んでいくことを
無常そのものの姿として
すでにその視界のなかに視えているのではないのか