鳥の歌
HAL
その鳥は雛のとき
父鳥を失った
母鳥は餌を獲りにいく
父鳥の役割と
雛を護る母鳥の役割を
こなさなければ
ならなくなった
母鳥が餌を獲りに
巣を離れているときが
三羽の雛にとって
もっとも危険な時間だった
母鳥が心配した通り
巣を離れ戻ったとき
三羽の雛のうち
二羽はカラスによって
食い殺されていた
しかしたまさか
残った一羽は
その後カラスに襲われる
ことはなく
雛から幼い鳥に成長し
やがて成鳥となり
深い森の巣から離れて
母鳥と別れる日が
やって来た
その日までに
母鳥は大空を舞う飛び方と
餌の獲り方を
愛する我が子に教えた
そして巣立ちの日に
母鳥は鳴き方を教え
巣立ちを見おくった
鳥は母鳥に
教えられた通り
鳥の言葉を学び
蒼い大きな空へと
翼を精一杯に拡げ
巣立っていった
母鳥に教えられた通り
ピース ピースと
鳴きながら
偉大なるチェロ奏者であり 悪に立ち向かう強い意思と人間性を持ち続けられ 故郷カタロニアを愛されながら終に故郷に戻られず 武器を遣わず戦い続けられたP・C氏への献詩として。