アルストロメリア
古代 透

花がやわらかに息を吐き
夜明けの雨に凍えても
時は鳴りやまない

まつ毛のさきにふれる空は透けて
彗星のように種が流れていく

肌にすべる水滴にくちづけ
花びらを射ち落として
雨は死を抱いている

時々、優しい気持ちをかぐのは
凛とした花の死をはらむとき

私がいてよかったでしょうと
歌うように 雲も 雨も 温もりも
死も消えていく


自由詩 アルストロメリア Copyright 古代 透 2012-01-21 02:36:51
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