花街 色街 女街
HAL

花街 色街 女街
一夜の愛があればこそ
男は魅せられ
短き夢を見るために
財をはたいて客となる

その財に見向きもせぬと思わせて
春売る女は骨の髄までしゃぶろうと
手練手管の床上手
気を遣る素振りも覚えしひとつ
精も根も吸い取られ躓く男は
三途の川で溺れ死ぬ

花街 色街 女街
本性見せじと
紅差し白粉厚化粧
そのまた口に艶笑い
それに絆されまたひとり
腑抜けの男の無様さに
狐は腹の底から高笑い

花街 色街 女街
そこはあの世と知りもせで
浮世の酒と思い込み
ふらふらと深い闇へと千鳥足
それが獲物の食べ頃と
化粧を落とした化物が
それみたことかと食い尽くす

花街 色街 女街
落としたはずの紅色は
血の色 死の色 闇の色
騙し騙され誑かす
それも互いは承知の掟

往けるか往けぬか
酒池肉林へ泥の船

花街 色街 女街
花街 色街 狐街

花街 色街 極楽街
花街 色街 地獄街

肌に艶めく雪洞灯して
色香に血迷う餌を待つ


花街はふつうは【かがい】と呼ぶのが正しいのですが この詩の場合【はなまち】と読んで下さい。


自由詩 花街 色街 女街 Copyright HAL 2012-01-19 11:13:53
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