ランディさんの本
木原東子

いつからだったか
ランディ、田口ランディさんが
自分に真面目に向き合う人だと思った

最近の本「私の愛した男たち」の帯に
あなたは最低、でも成長させてくれた
そう書いてある

いやべつにだからどうだってわけじゃない
「ぼくの愛した女たち」という本を
彼が書いたらどうなるんだろ?

小説みたいなごじゃごじゃは省くんだよ
彼の親父がめちゃくちゃだったわりには
戦後の若者はできればきちんと生きたかったし

貧乏でも誇りを持って童貞でいた
少女のように無邪気に
樋口一葉のように凛として
向日葵のように明るい
囁くように従順な
そんな女たちが回りにいた、彼を憎からず、なんて

しかし残念なことに、
人一倍ホルモン分泌の盛んな
牝が彼を追いかけて他を蹴散らした
これこそ
まだ儒教的な彼が避けるべきタイプだったのに

私だって人間なのよ、と言い散らかして
もう愛が消えた、とのたもうた
彼の打つ手はみな空を切った
「家事育児はみな彼女の自由に任せたのになあ」

友よ
君にはいまでもわからないのだろう
あれは女の機能をそなえた男だったのさ
やっぱり母親かい、終生の絆は

ともあれ、君は強い奴だ
スーパーマンのようだ
不思議な剛さを抱いている
友よ


自由詩 ランディさんの本 Copyright 木原東子 2012-01-18 23:17:10
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