『とらわれ』
あおい満月

失いたくないものを
握りしめるのは
罪なのだろうか

ひとつの観念が
わたしを捉える
それを解除しようとする別の思念が
わたしの足元を泳ぎまわる

そのふたつに
囚われたわたしは
冷却の恐怖を鼓動に感じで
電車からホームに
降りられない

ブドウ糖で繋ぎ止めた現実と夢想

たくさんの背中に押し込まれながら
わたしは
見慣れた街並みの夜へと吸い込まれていく
脳裏には
鍵を掛けられたままの観念が
檻のなかの獅子のように
息をしている



                       二〇一二年一月一七日(火)


自由詩 『とらわれ』 Copyright あおい満月 2012-01-17 20:55:51
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