長女誕生記念の詩
板谷みきょう

海よ
お前が産まれたのは
イブの日なんだよ
お腹を痛めた母さんは
たった一人病院で
お前を産んだんだよ

父さんは
知らせを聞いて
すぐタクシーで病院に
向かったのだけれど
間に合わなかったんだ

お前は厭かも知れないけど
名前はちゃんと
父さんが母さんと
相談してつけたんだよ
尽きる事の無い
清らかな思いやりをとね

海よ
母さんのそばでお前ときたら
大きな声で泣いていたんだよ
母さんは疲れていたのに
大きな声で泣いていたんだよ
くしゃみを三回したね
まるでおもちゃの様だったよ

父さんがお前を抱いて
顔をのぞき込んだ時
お前ときたら
突然泣き止んで
眼をぱちくりしたのだよ

何も解っていない様な
それでいて
全てを知り尽くしている様な
海よ
お前が産まれて
皆が
お前を祝福してくれたんだよ
         (1982.12.24)


自由詩 長女誕生記念の詩 Copyright 板谷みきょう 2012-01-16 01:07:00
notebook Home 戻る